
五苓散をベースにした漢方薬の処方番号とは?114・117が示す関連処方の選び方
五苓散と関連処方・漢方薬の処方番号について
No.114とNo.117
スーパーでインスタントコーヒーを見ていたらUCCのおなじみの商品を見つけました。「114」と「117」は500種類のブレンドの中から厳選されたブレンドの番号だそうです。

漢方マニアの私には「114」と「117」が下の写真のように見えました。ツムラの漢方薬の処方番号です。番号に加えて上の写真と色合いも何となく似ていませんか。

五苓散の関連処方
No.114柴苓湯とNo.117茵蔯五苓散は五苓散をベースとする親戚の処方です。
五苓散は水分代謝を改善する作用があり、気象病、頭痛、眩暈、嘔吐、下痢、二日酔いなどに処方されます。五苓散をベースとしたパワーアップ処方がいくつかあるので紹介してみます。
柴苓湯=五苓散+小柴胡湯 解熱、制吐作用をもつ小柴胡湯を合方しています。ウイルス性腸炎の発熱、下痢、嘔吐に力を発揮します。また炎症を抑えるステロイド様作用があるとされ、メニエール病、腎炎、皮膚疾患などにも処方されます。
胃苓湯=五苓散+平胃散 胃のつかえを取る平胃散に下痢をおさえる五苓散を配合した胃腸薬です。暴飲暴食や夏の寝冷えによる腹満、下痢に処方されます。
茵蔯五苓散=五苓散+茵蔯蒿 茵蔯蒿は利胆薬で黄疸を改善させます。私が所属していた外科教室では肝臓、胆嚢の手術時に処方していました。開業医レベルでは二日酔いに処方します。
漢方薬の番号に関するうんちく
ツムラの漢方薬において、パワーアップバージョンの処方番号は「ベースの処方番号+100」となる場合が多い様です。以下に例を挙げておきます。
- 01と101 葛根湯と升麻葛根湯
- 07と107 八味地黄丸と牛車腎気丸
- 09と109 小柴胡湯と小柴胡湯加桔梗石膏
- 16と116 半夏厚朴湯と茯苓飲合半夏厚朴湯
- 17と117 五苓散と茵蔯五苓散
- 25と125 桂枝茯苓丸と桂枝茯苓丸加ヨクイニン
また似た処方は番号が近い傾向にあります。
五苓散関連では
- No.017 五苓散
- No.114 柴苓湯
- No.115 胃苓湯
- No.117 茵蔯五苓散
となります。
「114」と「117」の数字から五苓散の関連処方および漢方薬の処方番号についてのうんちくを書いてみました。ちなみにインスタントコーヒーも漢方薬も私はNo.114を愛用しています。
岐阜市・加納渡辺病院
外科専門医・漢方専門医 : 渡邊学



