“寒天の日:岐阜のローカルフードから医学的応用まで”
目次
寒天と漢方
2月16日は寒天の日だそうです。
寒天はテングサなどの海藻を煮詰めて作ったトコロテンを寒ざらしにして作ります。
寒冷な気候が必要なため岐阜県や長野県の山間部で生産が盛んとなりました。
原料となる海藻類は東洋医学では寒性(冷やす作用)を持つとされます。
また寒ざらしの工程で冬の冷気を十分に受けて、凍結、乾燥されます。
つまり純白あるいは氷の様に無色透明で涼しげな寒天は、
その名前の「寒」が表す通り、漢方的には冷やす性質を持った食べ物と言えます。
そのため夏場に好まれるのも頷けます。
岐阜のローカルフード、ニッキ寒天を子供の頃よく食べました。
肉桂(シナモン)がピリッと辛く爽快で、ブリン(≠ぷるん)と硬いハードな食感が心地よく好きでした。
寒天などの海藻類は東洋医学では清熱利水消腫作用があるとされます。
つまり炎症や熱を抑え、浮腫を取り、腫れものを消すとされます。また食物繊維が豊富で便通を改善させます。
湿度が高く蒸し暑い夏場や、こってりした食べ物が多く便秘がちで赤いニキビが出来やすい湿熱体質の人におすすめのデトックスの食材と言えます。
寒天は医学の分野では、細菌培養の培地や、電気泳動に用いるゲルにも使われます。
大学院生の時に電気泳動用のゲルをいっぱい作ったことを思い出しました。
寒天とは異なりますが昆布のヌルヌル成分であるアルギン酸からもゲルが作られます。
その凝集作用から止血剤として製品化されており、アルゴダームという止血用の綿や、アルロイドGと言う胃潰瘍出血に使用するドロッとした内服薬などがあります。
長野県にスキーに行った際に立ち寄ったお土産屋さんに寒天製品が置いてあったので、ふと思いついてこの記事を書きました。
書いた人:
岐阜市 加納渡辺病院
外科専門医・漢方専門医 渡邊学