第74回 日本東洋医学会学術総会 2024 (於:大阪国際会議場) で発表をしてきました
第74回 日本東洋医学会学術総会 2024 (於:大阪国際会議場) で発表をしてきました。
痔核手術後の疼痛や浮腫による一時的な便秘に対して、漢方薬を処方する場合の工夫について学会発表をしてきました。質疑応答も充実し、実りの多い学会参加となりました。外科と漢方治療のセッションでの発表でした。
漢方内科、在宅治療、集中治療、外科など色々な専門科のお医者さんが外科疾患に漢方を処方していて面白く勉強になりました。今回学んだことを明日からの臨床にフィードバックしようと思います。
今回の学会のポスターは左下にサムライ、右上に薬師如来が配されています。学会のホームページには勉学に励み、研鑽に努め、心を磨いて病に立ち向かう医療者をサムライに見立てたとありました。
そしてその見上げる先におられる薬師如来は病や困難から人々を救って下さる仏様です。
このポスターを見て「人事を尽くして天命を待つ」という言葉が頭に浮かびました。往々にして「困ったときの神頼み」になりがちですが・・・。
今回の学会は家族を連れて少し旅行もしてきました。学会のポスターに啓発されて、神様、仏様を巡る旅としました。旅の思い出話を少し。
薬の町、大阪道修町に鎮座する少彦名神社にお参りをしてきました。
日本医薬の祖神・少彦名命と中国医薬の祖神・炎帝神農がお祀りされており、日本医薬総鎮守として信仰されています。少彦名命は大国主命と協力して国造りをした小人の神様で、医薬、温泉、酒造の神様として信仰されています。
どれも私が大好きで日々お世話になっているものなので、お参りしないわけにはいきません。病気平癒健康成就をお願いし、御神絵を頂いてきました。
少し足をのばして奈良にも立ち寄りました。奈良公園の鹿がかわいかったです。
この時期の鹿の角は新しく生え変わったばかりの柔らかい角です。キノコのようにムクムクと伸びていくので鹿茸と呼ばれ、漢方では補腎薬として使用されます。
うっすらと表面に毛が生えて、柔らかく、色がきれいでご利益がありそうだったので、やさしく撫でて元気をもらいました。
東大寺の大仏様を参拝しました。聖武天皇の昔から、人々の祈りを受けとめ続けてくださる大仏様の荘厳さに息をのみました。
大仏様の鼻の穴をくぐり、大仏様のポーズで写真を撮って楽しんでいる子供をみて、自分が修学旅行で訪れたときの事をなつかしく思い出しました。
東洋医学会のポスターにある薬師如来と大仏様の手印は同じです。手のひらを前に向けている右手は施無畏印(せむいいん)と呼ばれ「怖がらなくてもいいよ、安心しなさい」というサイン。
手のひらが上を向いた左手は与願印(よがんいん)と呼ばれ、「話してごらんなさい。願いをきいてあげるよ」というサインだそうです。大仏様には程遠いですが、日々の臨床で施無畏、与願の慈悲の精神に少しでも近づけると良いなと思いました。
私が診察室で変なポーズをしていたら、少しでも優しくなろうと、大仏様の真似をしている最中かもしれません。
書いた人
岐阜市・加納渡辺病院
外科専門医・漢方専門医 渡邊学