
七夕と朝顔:日本の伝説と漢方の関係
七夕と朝顔と漢方のお話
もうじき七夕です。今年の七夕はお天気が晴れて二人が会うことができるでしょうか。
ちなみに七夕に降る雨のことを催涙雨と呼ぶそうです。
日本では雨で会えない悲しみの涙ととらえることが多いですが、
韓国では七夕の雨は一年ぶりに会う事の出来た二人の流すうれし涙なんだとか。
どんな天気でも愛する二人はきっと出会っていることでしょう。

ところで、彦星の職業をご存じでしょうか?
答えは牛飼いです。そのため彦星に牽牛星の呼び名があります。
また、牽牛花という名前の有名な植物がありますが、何だかわかりますか?
答えは朝顔です。

朝顔が牽牛花と呼ばれる由来は諸説ある様です。
今回は七夕にちなんで、牽牛星が良く見える夏に朝顔がきれいに咲くために牽牛花と呼ばれるようになったという説を紹介しておきます。
七夕の織姫(織女星)と彦星(牽牛星)は夏の大三角形の「こと座のベガ」と「わし座のアルタイル」です。

朝顔(牽牛花)は日本には平安時代に薬用として種が伝わり、江戸時代に園芸種として品種改良をされた歴史があります。

Totoiriyaasagao hiroshige – アサガオ – Wikipedia
朝顔の種は「牽牛子」と呼ばれ、強い下剤として使用されました。
今昔物語には牽牛子の下剤作用を悪用したお話が載っています。越前の国守・藤原為盛が役人の給料となる米の配給を滞納してしまい、怒った役人たちが取り立てに来たことがありました。
その際に藤原為盛が役人たちを接待するふりをして、牽牛子の入った酒を飲ませ、ピーピーシャーシャーの下痢に苦しめて、追い払ったというひどい話があります。
強力な瀉下作用のため、現在日本で使用される漢方のエキス製剤に牽牛子は含まれていません。私も使ったことがありません。間違って子供が食べないように気を付けなければいけませんね。
朝顔の毒と言えば、必ず話題に上るのがチョウセンアサガオ、ダチュラです。曼荼羅華(マンダラゲ)という名前もあります。形が朝顔に似ているのでアサガオの名が付いていますが、ナス科の別の植物だそうです。

DaturaMetel-plant – チョウセンアサガオ – Wikipedia
華岡青洲が乳癌の麻酔に使った通仙散にマンダラゲが配合されていたことは有名です。そのため日本麻酔科学会のロゴマークはチョウセンアサガオです。ただし猛毒で、中毒例などもあるので注意が必要です。

きれいな朝顔の花の種には毒があり、ロマンチックな出会いには悲しい別れもある。
七夕と朝顔と漢方のお話でした。
書いた人:
岐阜市・加納渡辺病院
外科専門医・漢方専門医 渡邊学