チューリップとウコン:名前の由来とその意味
チューリップとウコンの関係?
チューリップは中国語では鬱金香と書きます。
チューリップの香りがウコン(鬱金)に似ているためとされますが、それほど香りは強くなく、何となく腑に落ちない感じもします。
鬱金香と表記される植物がもう一つあります。サフランです。
サフランは起源が古く、色は黄金色で特有の香りもあり、鬱金香の表記によく合います。
トルコで流行したチューリップが中国に入る際にサフランの仲間と誤解されて、鬱金香と表記されるようになったという説もある様です。
ちなみにサフランは番紅花とも表記されますが、ベニバナ(紅花)はまた別の植物です。
ウコン(鬱金)、サフラン(鬱金香、番紅花)、ベニバナ(紅花)は名前が重複していて紛らわしいです。
学名、西洋名も重複しています。ウコンの学名のクルクマはサフランを表すアラビア語のクルクムが由来です。
ウコンはアラビア語で「uqdah safra」、サフランは英語で 「saffron」、ベニバナは英語で 「safflower」と表記されお互いに似ています。
「サフラ」というのが「黄色の」という意味だそうです。ウコン、サフラン、ベニバナは古代より黄色の染料として重用され、恐らく時々混同されたのでしょう。
ウコン、サフラン、ベニバナは漢方薬としても使用され、血流を改善する効能が共通します。サフランがダントツで高価ですが。
話を鬱金香、チューリップに戻しましょう。
チューリップ発祥の国トルコでは国花として愛されています。
世界史の授業でオスマン帝国にチューリップ時代という風流な名前の平和な時期があったことを習いました。トルコではチューリップを「ラーレ(lale)」と呼びます。
チューリップ「ラーレ(lale)」、神様「アッラー(Allah)」、トルコの国旗の三日月「ヒラール(Hilal)」はアラビア文字でアナグラムとなるためチューリップは神聖な花とされています。トルコのチャイグラスはチューリップの形をしています。
チューリップ生産量世界一位のオランダの伝説ではチューリップの花は王冠、葉は剣、球根は財宝を表すのだとか。そう言われるとそう見えますよね。
品種改良が競われたチューリップの中でも、縞模様の入った斑入りのチューリップは特に珍重され、かつては家1軒分の値段で取引をされたこともあるそうです。
実はこれらの模様はウイルス感染の影響であることがわかっています。コロナウイルスで病原体のイメージが強いですが、ウイルスは進化に役立つ側面もあるとのこと。
チューリップの模様が変わるように我々も気が付かない所でウイルスの影響を受けて色々変化しているのだろうかと想像してみたりします。
病院の玄関にチューリップを飾ってみました。
お花から元気をもらって下さい。
私のウンチク話もおまけにどうぞ。
書いた人
岐阜市 加納渡辺病院
外科専門医・漢方専門医 渡邊学