熱中症の漢方療法とツボ:救急外来でのアプローチ
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熱中症の漢方とツボ ~救急外来編~
夏と太陽は大好きですが、今年も暑すぎます。生命の危険を感じます。
6月の後半頃から当院にも熱中症の患者さんが搬送されています。
当院の救急室には救急用の漢方薬を数種類常備しています。
熱中症には五苓散と芍薬甘草湯が活躍します。
補液とクーリングで状態が少し落ち着いた後、救急室のベッドで五苓散と芍薬甘草湯を内服してもらいます。
五苓散は水分循環を改善させる薬で、浮腫みがある時は尿量を増やし、脱水の時には尿量を減らすという便利な薬です。また熱中症による吐き気を抑え、飲んだ水分の胃腸からの吸収を促進させます。
芍薬甘草湯は有痛性筋痙攣、いわゆるこむら返りに有効です。即効性があり、救急室で内服させるとピクピクした震えが見ている内に治まることが多いです。
このコンビネーションは即効性があり、便利なので救急室で重宝しています。
暑い中での仕事が多い人で、熱中症予防に内服するファンもいます。仕事前にポカリで飲んでおくと調子が良いそうです。
熱中症に対するツボとしては多くの方法が報告されていますが、のぼせてボーっとする際の覚醒法として手先にある十宣穴、督脈上の人中や大椎に対する瀉法があります。
救急穴としてショックや脳卒中などの気付にも使われてきました。刺絡(針を刺して血を出す治療法)が有名ですが、てい針(刺さない針)や爪先での刺激でも有効です。
また冷たいペットボトルを握ったり、当てて冷却するのも良いです。手のひら、足のうらには動静脈吻合があり冷却による熱中症予防効果が言われています。軽い熱中症に対するセルフメディケーションとして活用されるとよいと思います。
漢方治療が熱中症に対するオアシスになれば幸いです。
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書いた人
岐阜市・加納渡辺病院
外科専門医・漢方専門医 渡邊学