刮痧(カッサ):夏バテ対策に効果的な伝統的な治療法
夏バテ予防にカッサ
カッサは漢字で刮痧と書きます。「刮」は擦る(こする)、「痧」は皮膚表面の赤い斑点を意味します。
刮痧は経絡をこすって刺激する治療法です。日本では美容法のイメージですが、中国では夏バテ対策に使用されます。
生薬の配合された専用の油やベビーオイル等で体表の滑りを良くして、水牛の角で作られた刮痧板や、無い場合は茶碗の縁などで経絡をこすって刺激をします。経絡の気血の巡り、新陳代謝などが改善されます。
色々な適応症がありますが、特に夏バテ、夏風邪などに有効とされます。
夏バテの刺激部位の一例を提示します。
①背中の大椎から至陽、その横の肺癒から心癒、首から肩の僧帽筋のライン。背中、頭は人体における陽の部分で熱がこもるので刺激をして熱を漏らします。
②大腸経の曲池、合谷。熱を下げる効能があります。
③心包経の曲沢から内関。吐き気や動悸に有効。
④胃経の足三里。食欲不振に有効。
⑤膀胱経の委中から承山。こむら返りに有効。
刮痧の後の注意点は水分をとることと、すぐに入浴をしないことです。
こすった痕が赤く内出血して「痧」がでますが、数日で色は消えます。
「痧」の色は赤くて小さな点は程度が軽く、どす黒く斑状の隆起は根が深いとされます。
刮痧の講習会に参加したときの私の背中をお見せします。
暗紫色の「痧」が出ています。
講師の先生が「これは酷い、疲れていますね。」とやや引き気味でした。不摂生がばれて、痛いやら、恥ずかしいやらで心が少し乱れたのを記憶しています。この「痧」も2-3日で薄くなり5日程度で消えました。
刮痧では経絡を点では無く面で捉えるためツボの位置の把握が多少アバウトで良いのも取り入れやすいポイントです。中国では家庭で肩叩きのかわりに刮痧をしたりするようです。
夏バテ予防に刮痧を紹介しました。
参考文献
中医養生のすすめ: 病院にかかる前に. 藤田康介. 東洋学術出版社. 2020.
今日から使える中国伝統療法 刮痧. 孫 維良. 科学新聞社. 2016.
書いた人
岐阜市・加納渡辺病院
外科専門医・漢方専門医 渡邊学