ミョウバンの不思議な力:漢方の新たな可能性
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ミョウバン(明礬)と痔と漢方の関係
小学生の息子が夏休みの自由研究にミョウバンの結晶を作っています。大きく育てようと真面目に手入れをしているようです。私も子供の頃に理科の実験で食塩とミョウバンの結晶を作りました。宝石造りみたいでワクワクしたのを覚えています。
ミョウバンには収斂作用、つまりタンパク質を固める作用があります。そのため食品添加物としてウニの型崩れ防止などに使用されます。
またミョウバンの収斂作用は薬としても利用されています。
当院では痔の手術を行っていますが、痔核硬化療法に使用する注射薬「ジオン」の主成分がミョウバン(明礬)なのです。ミョウバンの収斂作用を利用して痔を硬化させる訳です。
ジオン注は成分が硫酸アルミニウムカリウム、タンニン酸と記載されていて、名前からは西洋薬に思えますが、実は中国の史兆岐先生が作成した「消痔霊」という漢方薬がオリジナルです。明礬水(硫酸アルミニウムカリウム)と五倍子(タンニン酸)と記載すると漢方薬っぽくなります。ジオン注は日本で唯一の漢方注射薬とも言えそうです。日本では漢方薬は内服薬が主流ですが、中国では漢方の注射薬も使用されています。ジオンに続く漢方注射薬が日本でも使えるようになるとよいなと思います。
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ミョウバンと痔と漢方の関係について記載しました。自由研究でミョウバンの結晶を作っている小学生および親御さんの参考になれば幸いです。
書いた人
岐阜市・加納渡辺病院
外科専門医・漢方専門医 渡邊学