
膵臓の語源①〜 五臓六腑に無い臓器とは 〜
膵臓の語源① 〜 五臓六腑に無い臓器とは 〜
「膵」はメイド・イン・ジャパンの国字
「膵」の字は西洋の解剖学書を翻訳するにあたり、江戸時代の日本で作られたmade in Japanの国字なのです。
宇田川玄真(うだがわ げんしん)という医者が、Pancreas(パンクレアス)に対応する字として「膵」の字を作りました。
- Pan = 全
- Creas = 肉
これを意訳して、集合を意味する「萃」と、肉を意味するニクヅキ「月」を併せて、膵の字が作られました。
東洋医学の「脾」と現代の「膵臓」
東洋医学の五臓六腑には「脾」という臓器があります。その機能は第一に消化吸収、第二に血液造成とされます。
東洋医学の脾は、現代の膵臓(pancreas)と脾臓(spleen)を併せたような機能を持っていたと考えられます。
また東洋医学の解剖学書では、脾は「刀の形」や「馬蹄形」と記され、絵図では胃の裏に扁平な形で描かれました。
脾の字はニクヅキの「月」と「卑」からなります。卑は扁平、低い、小さいなどを意味する字です。
東洋医学における脾の機能、形状から考えると、恐らく五臓六腑の脾はPancreasとspleen一連のもので、特に機能面においてはpancreas(膵臓)寄りの臓器を想定していたのだと思われます。
しかし歴史の紆余曲折を経て、spleenが脾臓となり、pancreasに膵臓の字があてられました。
この点に混乱を感じるのは私だけではないと思います。
機能の萃(すい)、外科医の登竜門
しかし「膵」という字は、膵臓の特徴を表現した非常に良い字だと思います。
膵臓は、血糖をコントロールするインスリンなどの内分泌作用と、消化吸収を司るアミラーゼなどの外分泌作用を持ち、まさに機能の「萃」、集合した臓器と言えます。
また、胆管、膵管、胃十二指腸、門脈といった重要臓器の「萃」、中心部に位置しています。
膵臓の手術に「膵頭十二指腸切除術」があります。
膵臓、胃十二指腸、胆管を切除して吻合する、外科の萃(粋)を集めた外科医の登竜門のような手術です。

