
心の渇きを潤す漢方 甘麦大棗湯と小麦ブランとデーツ
心の渇きを潤す漢方
〜 甘麦大棗湯と小麦ブランとデーツ 〜
不安やイライラに効果のある漢方薬に甘麦大棗湯があります。
この漢方薬は、甘草(かんぞう)、小麦(こむぎ)、大棗(たいそう:ナツメ)の3つの生薬からなる、甘い味の薬です。
甘麦大棗湯の効能と適応
甘麦大棗湯の出典は「金匱要略(きんきようりゃく)」にあり、このように記されています。
「婦人の臓躁(ヒステリー)、しばしば悲傷して哭せんと欲し、象(かたち)神霊の所作の如く、しばしば欠伸する証」
意訳すると、女性のヒステリー発作や、感情の激しい起伏、狐憑きの様な精神異常、生あくびに対応するとされます。
私の経験では、不安発作や過換気発作で救急外来を受診された患者さんに、甘麦大棗湯をベースに抗不安薬を頓用で処方しています。
またイライラが強く、つい甘いものを食べすぎてしまうという女性に処方して喜ばれたこともあります。
捨てられる外皮に秘められた薬効 〜「浮小麦」の逸話〜
構成生薬の「小麦」に関して面白い逸話があるので紹介をします。
小麦は熱を冷まし、喉の渇きを止め、精神を安定させ、汗を止めるなどの作用があるとされます。
薬として使用する場合、浮小麦(ふしょうばく)という水に浮く小麦、つまり中身が少なく外皮の多い小麦に「止汗」の作用が強いとされます。
中国の宋の時代に王懐隠という名医が、更年期女性の精神症状に甘麦大棗湯を処方しました。
不思議な事にある問屋から仕入れた小麦を使った時だけ、精神症状に加えてピタリと汗も止まりました。
疑問に思った王懐隠が、この生薬問屋を問い詰めた所、粗悪な外皮ばかりの小麦(浮小麦)を卸していた事が判明します。この出来事から、浮小麦(小麦の外皮)に止汗の効果が強い事が発見されたという逸話です。
捨てられる外皮に薬効を発見した所が、脚気と麦飯の関係に通じる所がありますね。
私の昼食メニュー 〜小麦ブランとデーツ〜
私はお昼ご飯に「小麦ブランのシリアルとデーツ」を時々食べます。
小麦ブランは「小麦の外皮」のことで前述の浮小麦と成分は似ています。
デーツは「ナツメヤシ」です。漢方の「大棗(なつめ)」とは分類が異なりますが、強い甘味があり、滋養強壮に働くので名前だけでなく、効果にも似たところがあります。
干し柿や黒糖のように濃厚な甘さで、イスラム圏ではラマダン明けに食されるのだとか。
午前中の診療で精神が疲れて、イライラしてきた時の昼食にピッタリのメニューだと思い食べています。
自然な甘味が心の疲れと渇きを癒してくれます。
甘いものが好きで、疲れやすく、イライラしやすく、食後に眠くなる人にはお勧めのメニューだと思います。
試してみてはいかがでしょうか。

