
芍薬と漢方〜 美しい花に秘められた薬効と伝説 〜
芍薬と漢方
〜 美しい花に秘められた薬効と伝説 〜
母の日に芍薬を購入しました。今年は芍薬のつぼみが良く開いて嬉しかったです。
「立てば芍薬」と美人の形容にされる芍薬は5~6月が旬であり、母の日の和のギフトにもおすすめです。
宝珠のようにつぼみが開くとき
芍薬のつぼみは真ん丸で宝珠のように美しいです。硬いつぼみの蜜をぬぐって揉みほぐし、つぼみが膨らんで花開くのを待つのが楽しいです。
全てのつぼみが開くわけではないため、花が咲いた時の喜びはひとしおです。つぼみから想像するよりはるかに大きく豪華な花が咲きます。
名前に「薬」がつく理由
芍薬は名前に「薬」の字がつくことからもわかるように、その根は薬として使用されてきました。
漢方では、血を補い、痛み、痙攣を止める作用があるとされます。
漢方薬としては芍薬甘草湯が有名です。こむら返りの特効薬であり、当院の患者さんにもファンが多くいます。
芍薬甘草湯は宰相と老中のコンビなので効かぬわけがないと言えます。このコンビネーションは葛根湯、桂枝加芍薬湯など様々なメジャー処方に配合されています。
美しい花は女性の味方
芍薬は、女性の悩みに寄り添う漢方薬にも欠かせない生薬です。
これら「女性の三大処方」にも芍薬が配合されています。
美しい芍薬は女性の健康にも役立っているのです。
勘違いしやすい?「赤芍」と「白芍」
生薬の芍薬には「赤芍(せきしゃく)」と「白芍(びゃくしゃく)」があり、厳密には効果が異なるとされます。
赤芍は皮つきの根、白芍は皮をはいだ根を加工したものだそうです。
※私は白と赤の「花色」で効果が違うのだと勘違いしていました。西洋でも語り継がれる癒やしの伝説
西洋においても芍薬は大切な植物でした。ギリシャ神話には医神パイオン(Paeon)が冥界の王ハデスの傷を芍薬で治療したという話があるそうです。
英語では芍薬は「peony(ピオニー)」ですが、語源は医神パイオン(Paeon)だそうです。
また芍薬の有効成分はペオニフロリン(paeoniflorin)ですが、これもパイオンに由来するのでしょう。
そういえば、漢方の専門医試験の勉強でペオニフロリンを覚えたことを思い出しました。
最後に
病院の玄関に飾った芍薬をうっとりと眺めながらこのコラムを書きました。

