「お医者さんの本棚」:外科から占いまで、知識の宝庫
目次
お医者さんの本棚
自宅の本棚の整理をしました。
本棚には持ち主の興味や性格が表れると思います。
自己紹介もかねて私の本棚を少し紹介してみようと思います。
医学関連の本棚の写真はこんな感じです。
ざっと分類してみると、①外科、②内科、③漢方、④鍼灸、⑤占いにわかれています。写真には写っていませんが、隣にもう一つ本棚があります。そこには、⑥病院経営に関する本があります。それぞれに関して簡単にコメントしてみます。
- 外科 :市中病院で癌の手術をしていた時は手術書やガイドラインを読み込みました。手術の上手さと手術記録の絵のクオリティーは相関すると言われます。絵心が無い私は苦しみましたが、手術書にずいぶん助けられました。ガイドラインも常に机においていました。ガイドラインを読み込むと標準治療がいかに大変な労力で築かれていて、尊いかがわかります。加納渡辺病院に就職してからは、痔やヘルニアの手術動画や、癌の緩和治療の本を中心に勉強を続けています。
- 内科 :ベースは外科ですが、現在は何でも屋の開業医です。皮膚科、泌尿器科、整形外科、内科診療など幅広く対応します。開業医になってから本がずいぶん増えました。わからない事は当院の内科、整形外科の医者や、知り合いの専門医の先生の所に見学に行って教えてもらっています。結構楽しく勉強しています。広く浅く色々な知識が必要な開業医は私の性に合っているようです。
- 漢方 :現在流通している漢方関連のめぼしい書籍には大体目を通しています。医者向けの本の他に、一般向けの本も患者さんへの指導に参考にしています。最近は少し昔の古書に手を出したりもしています。最新のトレンドも大切ですが、過去に学ぶことも多いのが漢方治療です。考古学、宝探しみたいで楽しいです。中国の書籍にも興味があり、中国語の勉強も始めました。
- 鍼灸 :鍼灸の本にはずいぶん苦しめられました。湯液治療と用語が異なったり、流派によって使うツボが全然違ったり。脈診やツボの感覚は本ではわからないし・・・。鍼灸に関しては百聞は一見に如かずで、実際に鍼灸院を見学し、自分の治療をしてもらうのが理解の早道だと思います。日常診療ではトリガー注射に経絡やツボの考え方を加えたり、入院患者さんに接触針を取り入れたり、色々工夫して取り組んでいます。
- 占い 東洋医学の勉強をしていく内に、東洋思想にも興味を持ち、易経の勉強を始めました。道に迷った時の「言葉の処方箋」として易経の言葉は有用です。波及的に手相、人相、九星気学などの東洋占術の本も読むようになりました。特に手相、人相は医学の診断に通じるものがあり面白くて、結構はまっています。患者さんとの雑談にも役立ちます。命(めい)相(そう)卜(ぼく)山(仙せん)医(い)の五術のコンプリートを目標にしています。注:もちろん占いで治療方針を決めることはありません。
- 病院経営 :勤務医の時は経営や社会経済についてあまり考えたことはありませんでしたが、開業医になって否が応でも考えさせられます。診療報酬改正、労使問題、BCP、医療安全、設備関連、地域医療における当院の役割など、課題は山積しています。コツコツ地道に勉強していこうと思います。
これらのことに興味を持って日常診療を行っています。新たな興味や本はまだまだ増えそうです。本や新聞を読む時間が増えたことは開業医になってよかったことの一つかもしれません。
もちろん本は大切ですが、医学の領域では「患者さんが教科書」ともいわれます。患者さんの困りごとに真摯に対応していく内に色々と勉強して鍛えられていくのです。本はその際の参考に過ぎません。私の心の中の本棚には患者さんから教わったことがいっぱい詰まっています。
自己紹介を兼ねて本棚の紹介をしてみました。
今回は全体像の紹介でしたが、今後は東洋医学関連のお勧め書籍などを詳しく紹介できると良いなと思います。
書いた人
岐阜市・加納渡辺病院
外科専門医・漢方専門医 渡邊学