
おしゃれは足元から おしゃれの極意は易経にあり?
おしゃれは足元から おしゃれの極意は易経にあり?
「おしゃれは足元から」と言われますが、その起源はよくわかっていないそうです。

今回のコラムではその起源の一つとして中国の古典「易経」を挙げてみます。
易経に「山火賁」という卦があります。賁は音読みでは「ヒ」と読み、美のことです。また訓読みでは「かざる」と読み、おしゃれや飾りを意味します。
賁の字を分解すると、「卉」は花卉(かき:きれいな草花)を表します。「貝」はきれいな貝殻のことで、アクセサリーや貨幣として使用されました。賁は綺麗なお花や貝殻のアクセサリーで飾る事を表した卦になります。
山火賁の初爻に
「その足を飾る。車を捨てて歩く。」 とあります。
最初に足を飾りなさい。まさに「おしゃれは足元から」と言っています。ただしこの場合は良い靴を履いたり、高級車に乗ったりする物質的なおしゃれを言っているわけではありません。「足を飾る」とは行いを美しくすることです。つまり立ち居振る舞いやお行儀の良さなどの内面的な美しさを言っています。靴を磨き、心も磨けと言う事です。

また「車を捨てて歩け」とも言っています。これは地に足の着いた、身の丈にあったおしゃれ、アピールをしなさいと言う事。分不相応な高級車に乗ったり、自分を盛るのは止めておきなさいという忠告です。
「賁」に口編を付けると「噴」になります。あまり自分を盛って飾り過ぎると、いずれ疑惑や不満が「噴出」して、足元をすくわれます。「賁」の卦の次は「剥」に続きます。賁り(かざり)過ぎたあとは、メッキが剥げて、崩れ落ちるということのようです。
やりすぎは良くありませんが、易経も少し飾る事は良い事と言っています。適度に飾る事で場の空気が華やぎ物事が円滑に進みます。
加納渡辺病院としては、病院を清潔にし、お花で飾り、雰囲気を和らげる。スタッフの身だしなみを整え、気持ちの良い接遇をするなどの努力をして、病院としての足元を飾り、医療の質の向上につなげたいと思います。

書いた人
岐阜市・加納渡辺病院
外科専門医・漢方専門医 渡邊学