「ごちそうさま」の背後に隠された感謝と思いやり:ご馳走と韋駄天
ご馳走と韋駄天
食事の後に「ごちそうさま」を言っていますか?
博報堂生活総合研究所による2022年の定点調査では57%の人がきちんと「ごちそうさま」と言っているそうです。
男女差については、女性の方が約11ポイント高く、年代別に見ると、20代が62.9%で全体より約6ポイント高く、逆に60代は全体より約6ポイント低い50.9%だそうです。
お恥ずかしながら、私は言えていませんでした。反省しております。
「「いただきます」と「ごちそうさま」は必ず言う」:57.3%|博報堂生活総研「生活定点1992-2022」調査 (seikatsusoken.jp)
「ご馳走」という言葉は韋駄天が仏様の食事をあちこち駆け回って準備した事に由来します。そのため韋駄天はお寺の食堂にまつられる事が多いです。「ご馳走様」は「準備に走り回ってくれてご苦労様」という感謝の言葉なのです。
我々が受けている様々なサービスも多くの人が走り回って維持されているという意味では「ご馳走」です。昨今は少しご馳走が贅沢すぎる気もします。せめて走り回ってくれた人への「ご馳走様、ご苦労様」の感謝の気持ちは忘れずにいたいと思います。
私の患者さんにかわいらしいおばあちゃんがいます。診察が終わると毎回手を合わせてお辞儀をして帰られます。その姿は私の診察に対して「ごちそうさまでした。ありがとうございました。」とねぎらってくれているようです。
診察室にずっと座っているように見える私も、患者さんに呼ばれれば駆けつけますし、
学会、講習会などで新鮮で旬な治療法やネタを仕入れるように走り回っています。(実際は歩き回っているくらいの速度のような気もしますが・・・。)
当院を頼りにして下さる皆様に良い医療を「ご馳走」できるように韋駄天を見習ってフットワーク良く走り回りたいと思います。
書いた人
岐阜市・加納渡辺病院
外科専門医・漢方専門医 渡邊学