新型コロナウイルス流行による漢方薬不足と対策②
処方の工夫 その②
咽頭痛
咽頭痛に使用される桔梗石膏や桔梗湯も品薄です。桔梗で排膿し、石膏で炎症を抑え、甘草で痛みを抑えます。
イガイガした咽頭痛には甘草含有量の多い芍薬甘草湯でうがいをするのも有効です。芍薬甘草湯はこむら返りで有名ですが、意外にのどの痛みに有効です。胃痛、腹痛にも有効なので吐き出さずに飲みましょう。
薄荷(ミント)は咽頭痛に有効で、咽頭痛に有効な漢方の銀翹散に含まれています。ミントの強めのタブレットは漢方的にも咽頭痛に有効です。
扁桃炎
扁桃炎のように熱感が強いならば石膏含有の白虎加人参湯も良いです。桔梗を含有した処方に十味敗毒湯や排膿散及湯という漢方の抗生物質のような処方がありますが、コロナの急性期には出番は少ない印象です。
西洋薬で代用するならアズレン、アズノールのうがいも良いと思います。カミツレというキク科の植物が原料で、ちょっと漢方っぽくて使いやすいので好きです。アズレンのうがいは市販薬があります。
また桔梗湯は市販薬のトローチがありますし、龍角散(桔梗、甘草、杏仁)やリコリスのど飴(リコリスは甘草の洋名)で代用をしても良いと思います。
咳止め
小青龍湯、麻杏甘石湯、麦門冬湯という咳止めの漢方も概ね品薄です。咳が主症状で強く漢方を希望する人に処方しています。
使い分けとして小青竜湯は薄い痰、麻杏甘石湯は炎症を伴う濃い痰でヒューヒューいう時、麦門冬湯は痰の切れにくい渇いた咳と言われます。
しかし実際ははっきり区別ができない場合が多いので良く混ぜて使っています。特に麻杏甘石湯は淡白な味で、麦門冬湯は甘いのでこの2剤のコンビネーションは子供の咳に重宝します。
小青竜湯は酸っぱいので子供にはやや不人気でしょうか。
西洋薬で置き換えると
それぞれの効き目を西洋薬で置き換えると、小青竜湯は痰を減らすムコダイン、麻杏甘石湯は気管支拡張作用があるホクナリン、麦門冬湯は痰をなめらかにして排出を促すムコソルバンが近いのかなと考えて処方してみたりしています。適宜西洋薬で代用し他の漢方と併用するのも良いと思います。
市販薬でも
市販のOTC薬(一般用医薬品)も一部品薄ですが、色々使える薬があるので有効活用しましょう。短期間の内服なので置き薬として使用するのは良いと思います。
柴葛解肌湯は処方薬にはありませんが市販で購入できます。
麻黄湯、葛根湯、柴胡桂枝湯、小青竜湯、麦門冬湯、麻杏甘石湯、五虎湯(麻杏甘石湯に抗炎症作用のある冬瓜子が入った薬が五虎湯でどちらも咳に効きます)は漢方薬コーナーあるいは感冒薬コーナーにおいてあります。
寒気頭痛があれば葛根湯、食指不振、腹痛があれば柴胡桂枝湯、咳があれば五虎湯±麦門冬湯、鼻水があれば小青竜湯というざっくりとした使い方でよいと思います。
咽頭痛にはアズレンのうがいがおすすめです。桔梗湯トローチ、のど飴各種も色々探すと面白いです。
思いつく範囲で漢方薬の処方を分散する工夫を記載してみました。参考にしてみてください。