新型コロナウイルス感染へのツボ療法 その1 病期別のツボ
感冒様症状を緩和するツボを紹介
漢方薬不足対策としてコロナ、インフルエンザなどの感冒様症状を緩和するツボを紹介してみます。
病院での処方薬に併用して頂き、少しでも早く回復されるとよいなと思います。
始めに前回コラムで解説をした柴葛解肌湯(葛根湯+小柴胡湯加桔梗石膏)を念頭において、表証、半表半裏証、裏証の各病期の代表的なツボを紹介します。後半では良くある症状ごとのツボを紹介します。
脈診などの難しい診断を必要としない自覚症状で選穴できるツボを載せておきました。
当てはまる症状に合わせて、押しやすいツボを2,3個選んで刺激してみてください。
刺激方法は寒気があったり、体が弱っている時は灸で温める。熱があったり、痛みがある時は針で熱を取ることが基本です。
お灸はややハードルが高いので、それらしい範囲をカイロやペットボトル温灸で温めるだけで結構有効です。
針については蚊に刺された時にやるように爪先で押したり、つねったり、揉んだりでよいと思います。
病期別のツボ
まずは病期ごとのツボを記載します。東洋医学では病気は体の表面から奥に進んでいくと考えます。
表→半表半裏→裏と表現され、イメージとしては体表面の悪寒、疼痛→微熱、食欲低下→高熱、脱水という感じで重症化していきます。それぞれの病期の簡単な説明とツボを紹介します。
表証、太陽病
悪寒、頭痛、関節痛などの体表面の症状で、漢方薬では葛根湯などの発表剤が適応します。
ツボ:大椎、風門、後渓、申脈
首の後ろの一番出っ張った骨を大椎と呼び解熱のツボです。その少し下に風門というツボがあります。
風邪が入り込む門という意味です。風邪のひき始めにゾクゾクする所で、ここが治療点になります。
寒気がする場合はこの部分をカイロで温めると楽になります。
手足の太陽経の後渓、申脈のコンビネーションは体の背面の症状を広くカバーする配穴です。
半表半裏証、少陽病
口がまずい、吐き気、めまい、季肋部の張り、熱が出たり引いたりする等の横隔膜周囲の症状で、漢方薬では小柴胡湯などの中和薬が適応します。
ツボ:外関、臨泣、風池、内関
手足の少陽経の外関、臨泣のコンビネーションが基本になります。
食欲不振や胸のつかえ、動悸などが強い場合は胸腹部の症状に良く効く内関を追加するとよいです。
後頭部にある風池は風邪の集まる池のような場所という意味で、すっきりしない頭痛や眩暈に有効です。
裏証、陽明病
高熱、口喝、発汗、煩悶、腹満などがあり漢方薬では白虎湯(石膏剤)や承気湯などの清熱、攻下剤が適応となります。
ツボ:商陽、合谷、曲池、厲兌、内庭、足三里
手の陽明大腸経の商陽、合谷、曲池は清熱作用があります。
特に合谷は万能のツボとして有名で、解熱鎮痛作用があります。
便秘や腹満などの胃腸症状がある場合は足の陽明胃経の厲兌や内庭を加えます。
例えば、良くあるパターンとして
例えば良くあるパターンとして頭痛、悪寒があって、食欲もない、喉もいたむ、熱もある。
こんな場合はまず大椎、風門を刺激して、頭痛、悪寒に対応します。悪寒が強ければカイロで温めても良いです。
食思不振には外関、内関を刺激して、横隔膜周囲の症状を鎮静化します。
咽頭痛、発熱には合谷を刺激します。合谷は針麻酔にも使われるほどの鎮痛作用と解熱作用を持つので症状の緩和が期待できます。
これで柴葛解肌湯に近い感じになると思います。
~新型コロナウイルス感染へのツボ療法 その2 症状別のツボ へ続きます~