『しめじ』と『えのき』で覚える!糖尿病の慢性合併症と定期検査
糖尿病ってどんな病気?
糖尿病とは、『インスリン』というホルモンの量が不足し、働きが悪くなることで血液中のブドウ糖(血糖)が多くなりすぎた状態(高血糖)が、長く続く病気です。
『インスリン』とは?
血糖が正常でいられるように調節する、膵臓から分泌されるホルモンです。からだの中で血糖を下げる事が出来るのは、『インスリン』だけです。
インスリンは血管から細胞へ、糖を運んで血管の中の糖の値を下げてくれます。
しかし、何らかの問題で『インスリン』が不足し、血糖が正常に保てなくなってしまいます。
糖尿病は怖い? 忍び寄る『慢性合併症』に気を付けて
糖尿病で怖いところは長期間、高血糖状態が続くと、血管がもろくなり色々な場所で病気が起こることです。
それらが原因で起こる病気をまとめて、『糖尿病の慢性合併症』と呼びます。糖尿病の慢性合併症の原因は主に血管の障害です。
『しめじ』と『えのき』という言葉をご存じですか?
『糖尿病の慢性合併症』は細い血管と太い血管が障害される2つに分かれます。
血管の太細で分けて考えると、語呂合わせで慢性合併症を覚えることができます。
- 細小血管が障害されると、神経、目、腎臓に症状がでてきます。これを『糖尿病の三大合併症』と呼び、頭文字をとって“しめじ”と覚えることができます。
- “し、しの神経障害”は手足がしびれ、体中の色々な神経が鈍くなります。
- “め、めの網膜症”は視力が悪くなり失明に繋がります。
- “じ、じの腎症”は腎臓の働きが悪くなって体に毒がたまってしまい、透析を受けることになります。
- 大血管が障害されると、壊疽、脳卒中、虚血性心疾患が起こります。いわゆる『動脈硬化症』と呼ばれるもので、同じく頭文字をとって“えのき”と覚えてください。
- “え、えの壊疽”は足の血液が不足して組織が腐っていきます。
- “の、のの脳卒中”は脳を栄養する血管が詰まったり破れたりして脳の一部が機能しなくなります。
- “き、きの虚血性心疾患”は心臓の血管が詰まって心臓の動きが悪くなる狭心症や心筋梗塞のことです。
このような事態になる前に体の状態を定期的に検査し、確認することがとても大切です。
三大合併症の検査と動脈硬化の進み具合を調べるための、 “定期的な検査”の種類を先ほどの『しめじ』・『えのき』にあわせて紹介します。
細小血管障害(細くて小さい血管の障害である三大合併症の検査)
し:神経の症状 誘発筋電図
め:目の症状 眼底検査
じ:腎臓の症状 血液検査や尿検査
大血管障害(大きい血管に起こる動脈硬化が原因となる合併症の検査)
え:壊疽 ABI (足の血管のつまりを確認します)
の:脳卒中(脳梗塞) MRI・頸動脈エコー (首の血管で動脈硬化の程度やプラークの評価をします)
き:虚血性心疾患 心電図・心臓エコー (心筋梗塞が起きていないか確認します)
気が付かないうちに・・・
現在、健康に不安を感じない人が多いかもしれませんが、動脈硬化は自覚がなく進行していきます。
慢性合併症が発症した時には、すでに重症化している可能性もあります。
また、動脈硬化の原因は糖尿病だけではありません。年齢や生活習慣など、複数の原因が重なって動脈硬化のリスクが高まり危険になので、できるだけ軽減し、少なくすることが大切です。
動脈硬化を進行させる要因 |
喫煙 肥満 糖尿病 高血圧 脂質異常症(LDLコレステロール) 加齢 性別(男性) |
まとめ
糖尿病は、薬や注射を使って血糖値を適切に管理すれば、喉の渇きやだるさなどの症状が改善し、健康な人と同じような生活ができることが多いです。
そのためには、現在の状態を確認し、適切な治療を受けることが大切です。健康寿命を長く保つためにも、定期的な受診や検査を行うことを心がけましょう。