夏の終わりの蚊との戦い:ツボと漢方でかゆみを撃退!
九月に入り、夏にサボっていた草むしりをしたら、蚊にたっぷりと血を吸われました。
今年の夏は蚊にも暑すぎた様で、少し涼しくなったこれからが蚊の飛び出す時期と成りそうです。
意外と思われるかもしれませんが、蚊に刺された時のかゆみに鍼灸が有効です。即効性があって面白いので個人的には重宝しています。
局所療法:
蚊に刺された時に爪でバッテンの痕をつけますが、かゆみはなかなか治まりません。
しかしその要領で針を刺すと、数分でかゆみが治まります。針を刺しても痛みはほとんど感じません。
少し痛痒いジーンとした感覚があって、数分すると「あれ?かゆくない。」という感じです。
機序は分かりませんが、不思議と良く効いて面白いです。お灸も効きます。直接灸でも台座灸でも良いです。
たばこを吸う人はたばこの火を近づけたり離したりするたばこ灸も有りです。
葉巻がトレードマークのチェ・ゲバラはジャングルで虫を避けるために葉巻を吸っていたという話もあります。安たばこでは蚊は撃退出来なくとも、かゆみは抑えられるかもしれませんよ。
ツボ:
皮膚のかゆみを抑えるツボを紹介します。
①、②が簡単でおすすめです。
①大腸経のツボ;合谷、曲池、肩ぐう
漢方では肺が皮膚を司るとされており、その対となる大腸経も皮膚疾患によく使用されます。
合谷、曲池、肩ぐうは上肢の親指側の手、肘、肩にあって、わかりやすいです。針灸刺激も良いと思いますし、道具が何もない場合はぎゅっとつねるだけでも気が紛れます。
②肝経のツボ:行間、大衝
痒いとイライラします。肝は怒りを司るので、ツボを押して心を落ち着けます。足の親指と人差し指の間のツボです。また肝はかゆみの原因となる血、風に関連します。
③風のつくツボ:風池、風門、風市
蕁麻疹のかゆみのようにあちこちに急に出現し、消失するような症状を漢方では風邪と呼びます。風邪に対しては風の名前がつくツボが有効とされます。
④血に関するツボ:三陰交、血海、隔兪
血が熱を持つと風を生じるとされています。やや慢性化した皮膚症状に有用です。
漢方薬:
蕁麻疹のような皮膚のかゆみに、意外なことに葛根湯、五苓散が有効です。
葛根湯は皮膚の表面の循環を改善し発表解毒する効能があり、五苓散は皮下の水分代謝を改善し腫れを抑えます。赤みや熱感が強い場合は石膏の入った越婢加朮湯も有効です。
亜急性期には十味敗毒湯も使用されます。漢方薬の抗生物質に位置づけられる薬です。
乾燥してブツブツした湿疹に有効です。ジュクジュクした湿疹には消風散が有効です。センタイという蝉の抜け殻が配合されています。センタイには去風作用があるとされています。
慢性期には駆瘀血剤や補気、補血剤などを併用します。
変わったところでは魚による蕁麻疹に香蘇散が有効とされています。
紫蘇が配合されています。魚の毒に紫蘇が有効とされており、刺身に紫蘇が添えられているのもこのためです。
足の第2指の裏にある裏内庭というツボも食あたりに有効とされており、お灸を併用すると良いようです。
最後に
虫刺され、皮膚の痒みの漢方治療を簡単にまとめてみました。
外用ステロイド、抗ヒスタミン薬、抗生剤など西洋薬が手元にない場合は試してみても良いかもしれません。