放射線検査はどれくらい安全?日常生活で受ける放射線と比べてみよう
放射線は身の周りにあるの?
放射線と聞くと、不安を感じるイメージがありますが、実際には、身の周りの様々なところに放射線が存在しています。
例えば、宇宙から降り注いだ放射線、大地から放出される放射線、空気中の放射線、食べ物から放出される放射線などがあります。また、家や学校などの建物からも放射線が出ています。
日常生活で受ける放射線の量は、日本では、宇宙や大地などの自然環境や食べ物からなど、1年間に受けている自然放射線の量を合計すると平均で2.1ミリシーベルトになります。
また、病院でのエックス線(レントゲン)撮影などにより1年間に受ける人工放射線の量は、平均で約3.9ミリシーベルトになります。
これらの放射線を同じ期間に同じ量を受けるのであれば、それが人工放射線であっても、自然放射線によるものであっても、人体への影響に違いはありません。
からだ に受ける放射線による健康への影響は?
1回の急性被ばく、年間総被ばくのいずれでも 100 ミリシーベルト以上の放射線を人体が受けた場合には、がんになるリスクが高くなるということが科学的に分かっています。
どの程度のリスク上昇かというと、国立がん研究センターの資料によれば、100 ~ 200 ミリシーベルトの放射線を受けたときのがんのリスクは 1.08 倍とされています。
これは野菜の少ない食生活のリスク(1.06倍 )や塩分の高い食品を食べ続けたときのリスク(1.11 ~ 1.15 倍)など、日常生活の不摂生に起因するリスクと同じ程度となっています。
放射線を受ける量を完全になくすことはできません。しかし、自然界の放射線や、病院のエックス線( レントゲン)撮影などによって受ける放射線で、健康に悪影響を与えるようなことを過度に心配する必要はありません。
それでも放射線を受ける量をできるだけ少なくすることは重要であり、過剰な検査の見直しや日々の放射線被ばくの低減に取り組んでいます。
放射線検査の被ばく参考値
- 胸部エックス線の場合
放射線のあたる部位は胸部のみです。
妊婦や小児の場合は骨盤部分にはさらに鉛防護衣を装着するので胎児や生殖器にはほぼ放射線は当たりません。
参考値:胸部(母体) 0.1mSv
骨盤部(胎児、生殖器) 0.01mSv以下
- マンモグラフィの場合
日本乳がん検診精度管理中央機構では平均乳腺量のかたで2.4mGy/1回検査 が指標となっています。
当院では、平均乳腺量の方でおおよそ1~2mGy/1回検査 となっています。
実効線量では0.3~0.7mSvとなります。
- CT撮影の場合
撮影部位や方法によりことなりますが、1回あたり5~30mSv程度となっています。
妊婦や小児には被ばくに注意して撮影を行いますが心配があればご相談ください。
また、超音波検査は被ばくがありません。乳房超音波検査は、妊娠・授乳中でも可能ですので、乳房のトラブルがあれば、検査できないと自己判断せずにご相談ください。
放射線の単位は目的によって使い分けられています
これまでの話の中で放射線のいろいろな単位がでてきました。放射線の単位は目的によって使い分けられています。
- ベクレル Bq
- 放射性物質が放射線を出す能力を表す単位のこと
- 放射性物質が放射線を出す能力を表す単位のこと
- グレイ Gy
- 放射線のエネルギーがどれだけ物質に吸収されたかを表す単位のこと
- 放射線のエネルギーがどれだけ物質に吸収されたかを表す単位のこと
- シーベルト Sv
- 放射線を受けたことにより、人体にどれだけの影響を受けたかを表す単位のこと
- 放射線を受けたことにより、人体にどれだけの影響を受けたかを表す単位のこと
放射線の単位を簡単に雨に例えると、雨の降る量がベクレルBq、人に当たる雨の量がグレイGy、雨が当たった影響がシーベルトSvと考えればわかりやいすいと思います。