栗拾いから学ぶ五行色体表と風水の知恵
栗拾いに行きました
少し前になりますが10月の初旬に栗拾いに行きました。入口付近は空っぽの殻が多くて不安になりましたが、奥に入ると大きな栗がいっぱい取れました。
競争しながら拾う子供達に混ざって、お父さんが一番しつこく、時間を忘れて没頭しました。最後には袋いっぱいにおまけを頂き、「ガツガツ拾わなくても良かったね」と欲張りな自分達を反省しました。
空っぽの殻にヤキモキしながら探す所が栗拾いと潮干狩りは似ているなと思い、調べてみるとハマグリの語源は浜の栗だそうです。確かに形も見つけたときの喜びも似ていますよね。
五行色体表
栗は古来より重要な食物であり、五行色体表の五果(五つの重要な果実)の一つとして挙げられています。五行色体表は様々な事象を五行に分類してその代表を載せた表で、栗は五果の「水」に配当されています。
「水」は東洋医学では腎、老化全般、冷え、下半身のトラブルなどに関連するとされます。また薬膳では栗は脾を養い胃腸によいとも言われます。
つまり栗は腎(血)、脾(気)を補い、漢方薬では気血両虚を補う十全大補湯(老化や体力低下に用いられる処方)に近いと考えられます。
食養は長期的に取り入れることが重要です。縄文時代は栗が主食の一つでした。定番の栗ご飯も良いですし、手羽や豚肉と栗の煮込みもおいしいです。甘味としてドライフルーツ、ナッツ、蜂蜜などと一緒に取り入れるのも良いと思います。
高山に赴任していた時に「栗よせ」という栗蒸し羊羹をよく食べました。栗が甘露煮ではない蒸し羊羹のため、栗羊羹ほど甘すぎず、べたつかず、ホクホク美味しくて好きでした。
ちなみに酒飲みの私は最近晩酌を栗焼酎のお湯割りに変えて、老化防止、気力増強を言い訳に時々飲み過ぎています。
風水
秋に収穫される黄金色の栗や稲は風水では五行の金の象徴ともされます。金はお金、財産を表す他、仕事、出世、勝負、恋愛などに関係するとされます。
おせち料理の栗金団が財運の縁起物で、搗栗(かちぐり)が勝ちに通じるというのは有名です。栗拾いをして、栗スイーツを食べるデートプランは恋愛成就に良いかもしれません。
また栗のイガは魔除けの効能もあるとされます。
無病息災と仕事運のアップを期待して、収穫した栗と妻の実家から送ってもらった新米で栗ご飯を作りました。
栗と新米は金の最強コンボです。北西の方角が金の方角なので、お父さんが座り、みんながお父さんの方を向いて食べました。美味しく頂き、仕事を頑張る気になりました。
子供達は栗ご飯よりもデザートに母親の作ったモンブランの方が好きだった様です。
そういえば地球温暖化でモンブランの標高が下がっているという記事を見ました。不景気でケーキのモンブランの高さが低くならないとよいのですが。
猿蟹合戦
長くなりましたが最後におまけです。栗が登場する昔話に猿蟹合戦があります。似た話は世界中にあるようで、中国では柿が桃になったり、東南アジアでは猿と亀がバナナで揉めたりするようです。
五行説で考えると猿とおにぎりは金で、蟹と柿の種は水に属します。金生水の相生関係で本来ならば相性は悪くありませんが、うまくいかない場合もあります。
金と水のそれぞれの象意である上司と部下、親と子を配当してみると関係の難しい場面が想像できます。そんな状況を焼き栗、蜂の針、臼の圧迫が打開します。
殺伐とした復讐劇ではなく、東洋医学にこじつけると、お灸で焼いて、針を刺して、按摩で揉んで停滞した流れを良くしたという平和的な解釈も可能でしょうか。
栗を題材に五行色体表、風水、昔話などをまとめてみました。参考になれば幸いです。
筆者:岐阜市 加納渡辺病院
外科専門医・漢方専門医 渡邊学