居酒屋で薬膳!からし蓮根やからし豆腐で体も心も温まる夜
居酒屋で薬膳 ~からし~
薬膳の知識をつまみに美味しくお酒を飲むコラム、今回は芥子(からし)を取り上げてみます。
からし蓮根
私の妻が宮崎県出身のため、九州を訪れる機会が増えました。九州には色々美味しい物がありますが、からし蓮根は見た目が美しく、味も刺激的で大好きです。からし蓮根は細川九曜紋に似ていると言われます。九曜紋は北極星、北斗七星、妙見菩薩のシンボルなので、レンコンに詰まった黄色いからしが天帝のお星さまに見えます。
薬膳的にはからしは九穴を開くと言います。九穴とは口、目、耳、鼻などの人間にあるすべての穴の総称で、からしのツーンとした辛みが通りを良くしてくれます。またレンコンは体に潤いを与え、滋養強壮の効能があるとされます。
黄色い九曜のお星さまを宿したからし蓮根をシャクシャクほおばるとレンコンが肺や胃腸を整え、からしがツーンと九穴を開いてくれます。グビリと球磨焼酎を飲むと経絡が疎通し、滞った嫌な事もすっきり通って、きっと明日の見通しも良くなるはずです。からし蓮根は縁起も味も薬効も良いパワーフードです。
からし豆腐
私の出身地岐阜県のからし豆腐もおすすめです。からしには解毒作用や胃を開き食欲を増進させる効能があるとされ、物が腐りやすく、食欲が落ちる夏場に消化の良い豆腐と組み合わせてからし豆腐が誕生したそうです。
半分に割って醤油をたらし、からしを溶かしながら食べると生姜の冷ややっことは違った美味しさがあります。私は醤油を少な目にして、オリーブオイルと塩をかけます。
しっとりコクがでて美味しいです。平和の象徴であるオリーブはバッチフラワーでは身心の疲れを癒すレメディーとされます。
弱った胃腸と心にからしが喝をいれ、オリーブオイルが優しく包んで癒してくれる、そんなイメージでトッピングをしています。
大根のおでん
大根のおでんにからしもベストマッチです。薬膳ではからしは肺を温め、大根は消化を助け、どちらも余分な水分の滞りを解消する効能があります。
芥子(からし)、来服子(大根のたね)、蘇子(しその実)からなる三子養親湯という漢方薬があります。肺、胃、大腸の機能を高めて痰(余分な水分)を排出する処方です。
アツアツの大根のおでんにからしをたっぷりのせてハフハフ、ツーンとほおばり、焼酎の紫蘇割をグビリとやると、居酒屋でなんちゃって三子養親湯が作れます。これで風邪もむくみも吹っ飛ぶはず?
納豆
飲んだ翌日は何となくけだるくやる気が起きない事も多いです。そんな時は朝食の納豆ご飯のからしをいつもより多めにして喝をいれます。九穴が開いて経絡が疎通しやる気がでます。
バッチフラワーでもマスタードは「どんよりした曇り空のように憂鬱な気分」に有効なレメディーとされます。納豆にたっぷり入れたからしでツーンと涙目になりながら、黄色いマスタードの花を思い浮かべて、どんよりとした気分にさよならをします。
黄色く刺激的なからしは心身に喝を入れ温めて元気をくれます。冷蔵庫の中でチューブが干からびてしまう前にどんどん有効活用しましょう。
書いた人
岐阜市・加納渡辺病院
外科専門医・漢方専門医 渡邊学