パリオリンピック2024:精力善用・自他共栄の精神で輝いた日本
精力善用・自他共栄 ~パリオリンピックを振り返って~
パリオリンピックが閉会しました。色々ありましたが、最終的にはメダルラッシュで日本には実りの多い大会であったと思います。パリオリンピックを観戦し、いくつかの名言が頭をよぎったのでコラムとして紹介をしてみます。
私は学生時代に柔道をしていたので、まずは柔道の言葉を紹介します。柔道の創始者である嘉納治五郎の言葉に「精力善用・自他共栄」があります。心身の最善を尽くして、お互いに高めあうという事です。まさにオリンピックの目指すべき所であると思います。
心身の最善を尽くすには血のにじむ様な努力が必要です。「天才は1%のひらめきと99%の汗」と言います。流した汗と涙が多いことが一流の必要条件です。「涙は心の汗」とも言われます。美しく尊いものだと思います。血も涙もないロボットになってはいけません。
お互いに高めあうには、相手へのリスペクトが大切であり、そのためには「礼に始まり礼に終わる」姿勢が必要となります。実力者に挑発威嚇は似合いません。
嘉納治五郎は東京オリンピックの招致に尽力し、灘高校の設立に関与するなど事業家、教育者としても活躍をしました。「人に勝つより自分に勝て」とも言っています。SNS全盛でつい人と比べがちな我々には耳の痛い言葉でもあります。
SNS関連では「やす子オリンピック 生きてるだけで偉いので皆 優勝でーす」というポストも注目を集めました。
万葉集の山上憶良の歌の内容が少し似ているので紹介をしてみます。「銀(しろがね)も 金(こがね)も玉も 何せむに 優れる宝 子にしかめやも」。金銀宝石よりも子供は尊い宝であると歌っています。金、銀の言葉が入っていてオリンピックを連想させます。人間は生まれてきただけで金メダル以上の宝であり優勝と言えるのかもしれません。天使の様な子供を見ていると本当にそう思います。
さて、かく言う私自身の宝は輝いているのだろうか、あるいは曇ってしまってはいないだろうかと自問自答をします。
最後に「言うは易く行うは難し」です。中島みゆきの「ファイト」のさびがリフレインします。本来ならば戦わない人間に挑戦者を批判する資格はないのです。
お説教ぽくなってしまったので、ここらへんで止めます。
何はともあれオリンピアンの皆様ご苦労様でした。元気をもらいました。
書いた人
岐阜市・加納渡辺病院
外科専門医・漢方専門医 渡邊学