
植物の長老:黄耆(オウギ)と蓍(メドキ)
植物の長老
〜 黄耆(オウギ)と蓍(メドキ) 〜
滋養強壮の生薬の黄耆と易占の筮竹として使用される蓍には「耆」の字が含まれます。
耆は老と旨からなり、味のある老人つまり長老を表します。また長老から派生して生命力、知恵などの意味も内包します。
黄耆も蓍も数十年の寿命を持つものがあり、植物の長老の意味で耆の字がついたのだと思われます。
補薬の長老・黄耆
黄耆には王孫や百本の別名があります。王孫は王様の子孫のことで高貴なものを意味し、百本は百年生きて百本の茎を生ずるほど長寿という意味だと思われます。
黄耆は滋養強壮の生薬として色々な漢方薬に配合されます。黄耆が長寿で生命力に富むこと、薬となる根が老人の髭の様に長いこと、花や根の黄色は脾土を表し五行の中心である事などから「補薬の長老」の意味で黄耆の名前が付いたとされます。
参耆剤(じんぎざい)
黄耆と朝鮮人参は補薬のツートップであり、参耆剤として併用されることが多いです。元気をつける漢方薬の補中益気湯、十全大補湯、加味帰脾湯などに配合されます。
また皮膚を強くし、傷を治し、腎臓を保護するなどその効能は多彩です。
神意を探る知恵の草・蓍
蓍(メドキ)には鋸草(ノコギリソウ)の別名があり、易占の際の筮竹として使用されました。長寿の蓍は知恵のある長老の象徴と考えられ、賢者が神意を探る占いに使用されました。
中国最古の薬学書、神農本草経には蓍実の名前で紹介されており、その効能に「明目聡慧先知」とあります。つまり物事が良く見え、知慧を聴き、未来を知ることができるという意味で、占いにぴったりです。
西洋での伝説(ヤロウ)
蓍は西洋ではヤロウ(yarrow)と呼ばれ止血のハーブとして有名だそうです。トロイ戦争で英雄アキレスが傷の治療にヤロウを用いたという伝説があり、ヤロウの学名アキレアは英雄アキレスに由来するとのこと。
名医を表す故事成語
名医を表す故事成語に耆婆扁鵲(ぎばへんじゃく)があります。耆婆(ジーヴァカ)はインド、扁鵲は中国の名医の名前です。
耆婆(ジーヴァカ)の当て字に耆の字が入っているところが興味深いですね。
易占の際に私はサイコロを使っていますが、このコラムを書いて筮竹(蓍)の使い方を勉強してみようと思いました。
私は漢方医なので、黄耆の茎で筮竹(蓍)を作ったら面白いと考えて計画中です。
完成して上手に使いこなせるようになったら報告しますね。

