
【お伽話から学ぶ医療のルーツ】~「因幡の白兎」と「一寸法師」~
お伽話と漢方 「因幡の白兎」と「一寸法師」
因幡の白兎
だましたサメに皮を剥がれ、意地悪な神様にかつがれて潮風にあたり苦しんでいた因幡の白兎を大国主命が助けます。この時に大国主命が治療に用いたのが蒲の穂の花粉です。蒲の穂は蒲黄と呼ばれ止血効果があるとされます。このお話から、大国主命は医療の神様とされています。

大国主命自身も兄弟からの攻撃を受けて大火傷を負います。その際キサガイヒメ・ウムギヒメという赤貝と蛤の女神様に助けられます。赤貝の粉と蛤の粘液で作った薬を用いた、二人の女神さまからの献身的な看護によって大国主命は回復します。キサガイヒメ・ウムギヒメは看護の神様とされています。
一寸法師
お椀の船にのって、針の刀で鬼を退治した一寸法師。一寸法師のモデルとなったと言われる神様にスクナビコナがいます。スクナビコナは小人の神様で、海の向こうからガガイモの船に乗って、蛾の服を着てやってきたとされます。


小さいけれど海外仕込みの知恵を持った神様で医薬、酒造、温泉、おまじないなどの知識を駆使して大国主命と協力して国造りをしました。スクナビコナも医薬の神様とされています。


七福神の大黒様と恵比須様はコンビでお祀りされる事が多いです。大国主命とスクナビコナもコンビで国造りをした仲良しの神様です。
実は大黒様は大国主命、恵比須様はスクナビコナと同一視されることがあり、共通点も多いのです。

大黒様の持ち物は打出の小槌と大きな袋で、大国主命も因幡の白兎の絵本では大きな袋をかついでいます。恵比須様は海から来た神様で、持ち物は釣り針です。スクナビコナも海から来た神様で、一寸法師(スクナビコナ)は針の刀を持っています。
そうしてみると、針の刀で鬼を退治して打ち出の小槌を手に入れた一寸法師は恵比須、スクナビコナと大黒、大国主命のどちらの力も得た偉大な存在と言えるのかもしれません。
鬼をも倒す針の技術と打ち出の小槌から出る無尽蔵の知識を持った一寸法師を目標に、小粒だがピリリと辛いそんなお医者さんになりたいと思います。
ちなみに、鍼灸最古の書籍・霊枢では針治療でツボをとらえた時の感覚を魚釣りのアタリに例えています。漢方薬でも色々な処方の中からよい手が見つかった時に同じような感覚があります。
仕事終わりの晩酌の際、エビスビールのラベルを眺めながら、今日の診療で良いアタリはあったかしらと考えるのも楽しいです。

書いた人
岐阜市・加納渡辺病院
外科専門医・漢方専門医 渡邊学