
花粉症の漢方薬:鼻水・鼻詰まりに効く選び方と自宅でできる対策(お茶・ツボ)
花粉症と漢方
花粉症で頻用される漢方処方の説明の他に、お茶やツボ刺激など自宅で手軽にできる漢方の知恵についても記載してみます。西洋薬との併用も可能ですので参考にしてみてください。
漢方薬
小青竜湯&五虎湯
サラサラした水っぽい鼻水に小青竜湯、ネバネバした黄色っぽい鼻水に五虎湯がよいとされます。どちらか迷う時は両方混ぜてもOK。
竜虎湯というカッコいい名前で私のお師匠さんが愛用しています。ただし麻黄(エフェドリン)の量が多くなるので胃や心臓が弱い人は飲みすぎに注意が必要です。

葛根湯加川きゅう辛夷&辛夷清肺湯
花粉症で鼻閉が主症状の場合は葛根湯加川きゅう辛夷が有名です。症状が悪化して蓄膿症の様になった際は清熱作用の強い辛夷清肺湯を併用すると良いです。
共通の生薬は辛夷です。辛夷はモクレンの花で、鼻の通りを良くする効能があるとされます。モクレンの花が春っぽい感じがして好きです。

香蘇散&川きゅう茶調散
五虎湯や辛夷清肺湯は気管支炎や蓄膿症に使用される処方です。花粉症にそこまで強い薬がいるのか?もっと軽い薬でもよいのではないか?という考えはあります。
そんな時は妊婦さんでも飲める優しい風邪薬の香蘇散や頭痛に処方される川きゅう茶調散はよい薬です。紫蘇、生姜、陳皮、薄荷、茶葉などの軽い生薬が配合されています。その分効果が弱めなので、併用すると良いようです。
共通の生薬に香附子が含まれています。香附子はストレスを抑えて解毒する理気疏肝作用を持つため、春のイライラやデトックスに適した薬だと思います。

台所漢方
手元に薬が無い場合はキッチンで漢方薬?を作ってみましょう。
香蘇散
前述の香蘇散の原料には紫蘇、生姜、陳皮、(葱)が含まれます。要するに体を温める薬味です。全部は無くてもどれかは台所にあるのではないでしょうか。

紫蘇、生姜、葱などの薬味を刻んで(チューブでもOK)、だしの素を振って、お湯を注ぎ、七味(陳皮入り)を軽く振れば香蘇散風お吸い物の出来上がりです。体を温めて風邪を吹き飛ばし、サラサラの鼻水を止めましょう。
モロッコ風ミントティー
鼻づまり、咽頭痛には熱を冷ますモロッコ風ミントティーが良いです。材料の緑茶、薄荷には熱を冷ます効能があります。
温かい緑茶にフ〇スクやミ〇ティアなどのミントタブレットを1,2粒入れれば再現可能です。本場では砂糖を入れるそうですが、無くてもいけます。清涼感があり鼻が通ります。結構癖になります。

ジャスミン茶
良い香りのするジャスミン茶は気をめぐらす作用があるとされ、イライラしやすい春にお勧めのお茶です。見た目もきれいで春っぽい感じがします。
アイスよりホットの方が香りが立ち、アツアツのジャスミン茶を飲むと口がサッパリします。ベースが緑茶なのでどちらかというと冷え性のサラサラ鼻水よりは熱症のネバネバの鼻水に適応があります。

ツボ
材料のいらないツボ刺激はまず試してみる価値があります。
四関穴(合谷&太衝)
手足の親指と人差し指の間にある合谷と太衝を四関穴と呼びます。合谷は鼻に、太衝は目につながっているとされるので鼻、目に症状の出る花粉症に有効です。合谷は万能のツボとされているので兎に角押してみましょう。


上星、風池
前頭部の上星、後頭部の風池も有名です。花粉症の時に押すと浮腫んでブヨブヨしている事があります。むくみを取る様にゆっくり指圧してみましょう、鼻炎、結膜炎に有効です。


大椎、肺兪
首の後ろにあるツボです。アレルギーは肺に関係あるとされるので肺のツボを刺激します。乾布摩擦の要領でタオルでこすったり、熱めのシャワーで刺激するのが簡単です。


花粉症の漢方薬、お茶、ツボをまとめてみました。軽症であれば薬に頼らず、食事やツボなどを色々試してみるのも面白いですよ。参考にしてみてください。
書いた人
岐阜市・加納渡辺病院
外科専門医・漢方専門医 渡邊学