
貝の女神様と漢方〜 日本の看護の守り神と貝の効能 〜
貝の女神様と漢方 〜 日本の看護の守り神と貝の効能 〜
子供と潮干狩りに行きました。
養殖した貝を撒いた人工的な潮干狩りでしたが、ザクザク取れて楽しかったです。
今回は、貝の女神様と漢方についてのコラムを書いてみます。
キサガイヒメとウムギヒメ
古事記には、大火傷を負った大国主命(おおくにぬしのみこと)を、キサガイヒメとウムギヒメが看病したという神話があります。
キサガイヒメは赤貝、ウムギヒメは蛤(はまぐり)の女神様です。実は、日本の看護・介護の守り神は貝の女神様だったのです。
理由を考えてみると、
① 古代において貝が薬として使われた。
② 看護介護は女性の仕事であり、貝が女性の象徴であった。
などが思いつきますが、正確な理由はわかっていないようです。
キサガイヒメとウムギヒメは、東海圏では静岡県の岐佐(きさ)神社にお祀りされています。国家試験前の看護師が合格祈願にお参りするのだとか。
ちなみに介護の「介」の字は、元々は鎧(よろい)を着た人の象形だそうです。鎧で守る、鎧の間に挟まるなどの意味があり、介護、介助、仲介などに使われるようになったそうです。
私には、介の字は「二枚貝が足を出している様子」に見えますが、いかがでしょうか。
貝の漢方的効能
牡蛎 牡蠣(カキ)の殻
精神不安による動悸を抑え、胃痛をやわらげ、汗を止める効能があるとされます。
イライラや不安、動悸に処方される「柴胡加竜骨牡蛎湯」「桂枝加竜骨牡蛎湯」。胃痛、生理痛に処方される「安中散」。慢性病による口渇、盗汗に処方される「柴胡桂枝乾姜湯」などに配合されています。精神科領域の漢方では大切な生薬です。
文蛤 ハマグリ、アサリ、シジミなどの二枚貝の殻
熱を冷まして痰を切る。利尿して浮腫みをとる。胃痛を抑え、できものを小さくするなどの効能があるとされます。
現在のエキス漢方には配合されていませんが、傷寒論、金匱要略に文蛤散、文蛤湯の記載があります。口が乾いて尿がでない時の五苓散や、咳・痰が多い時の麻杏甘石湯に効能は近いようです。
薬膳としての貝のお味噌汁
薬膳としては、貝殻のだしが良く出た貝の味噌汁は利尿、痰切り、胃痛を抑える効能があり、二日酔い、感冒に有効だと思います。
ただし、ウムギヒメ(蛤の女神様)も我が家の女神様(妻)も二日酔いには厳しいので、二日酔いの朝は自分でインスタントの貝の味噌汁を作ります。
「五苓散」を飲んで、貝の味噌汁を飲むと相乗効果があると信じてすすります。
真珠
精神安定作用や美肌効果があるとされます。真珠パウダーの入った美白の外用も市販されています。
あこや真珠が養殖できるようになる前の天然真珠は、今とは比較にならないほど高価で貴重なものでした。海の霊力を集めた宝石とされ、人魚の涙、月の雫などの異名があります。クレオパトラや楊貴妃が美を追求して真珠を内服していたという伝説は有名です。
媚薬としても・・・
貝にはセックスミネラルと呼ばれる亜鉛やチロシン、タウリンなどが豊富に含まれており、強精作用があるとされます。
また、貝の形やにおいが女性を連想させることもあり、洋の東西を問わず精力剤、媚薬として使用されて来ました。この辺りについては「絶倫食(小泉武夫 著)」に詳しいです。
この本の中から媚薬を一つ紹介しましょう。
「淫精散」という薬はハマグリ、イモリ、赤マムシからなり、交合の五日前から男女ともに内服し、徐々に気分を高めていくとのこと。ハマグリが女性、赤マムシが男性の象徴なのだそうです。興味がある方は一読してみてはいかがでしょうか。

