夏の健康を守る冬瓜の力:疲労回復スープと効能
目次
冬瓜と漢方
冬瓜は冬の字が入りますが夏が旬の野菜です。冬まで保存が利くので冬瓜という名前になったそうです。冬瓜、苦瓜(ゴーヤ)、胡瓜(きゅうり)、西瓜(スイカ)など瓜科の植物全般の特徴として熱を冷まして浮腫をとる効能があり、冬瓜も蒸し暑い日本の夏に適した食材といえます。
冬瓜を疲労回復効果のある鶏手羽と煮込むと夏バテ予防に最適なスープになります。レシピは簡単で冬瓜と手羽を水で煮て、塩と醤油とショウガで味付けし、片栗粉でとろみをつけるだけです。熱々でも冷やしても美味しいです。
我が家ではお肉は育ち盛りの子供達にやって、私は鶏油の浮いたスープと味の染みた冬瓜を頂きます。とろとろで柔らかい食感が心地よく、噛むとジュワッと口の中いっぱいに美味しいスープが広がります。夏バテで荒れた胃腸にもつるんと入り滋味が五臓六腑に染み渡ります。
冬瓜の種は冬瓜子と呼ばれ、精熱解毒の生薬として漢方薬に配合されます。日本で使用されるエキス漢方の中では大黄牡丹皮湯、腸よう湯に配合されています。「腸よう」とは腸の炎症を伴うしこりのことで、虫垂炎などを指します。抗生剤の無い時代には虫垂炎などに炎症を抑えるために処方されました。
虫垂炎や蜂窩織炎などの化膿性の疾患は、高温多湿で物が腐りやすい夏場に多い印象があります。冬瓜などの瓜科の食材で熱と湿気を散らしておくと予防に良いかもしれません。ただし胃腸の弱い人は冷やしすぎに注意が必要です。
書いた人
岐阜市・加納渡辺病院
外科専門医・漢方専門医 渡邊学