
尿管結石の漢方とツボ
〜 激痛を和らげ、排石を促すアプローチ 〜
救急外来で若い男性が背中の痛みで悶え苦しんでいると、まずは尿管結石を疑います。
尿管結石は激痛ですが、手術などの緊急処置を要する事は稀です。そのためCT撮影をして、尿管の中にピカッと白く光る結石を見つけると医者は少しほっとします。
救急外来では点滴をしたり、痛み止めを投与したりします。しばらくすると疼痛が下火になるので、その後は鎮痛剤や結石排石薬を処方して帰宅、外来フォローとすることが多いです。
私は救急外来でよく漢方を処方しますが、尿管結石は救急室で漢方治療が力を発揮できる疾患の一つです。尿管結石に対する漢方治療を紹介してみます。
志室(ししつ)の指圧
私が研修医の時に泌尿器科の先輩が尿管結石の患者をうつ伏せに寝かして、背中をギューッと強く押していました。
「何をしているのですか?」と質問すると、「志室(ししつ)」というツボを押すと、痛みが落ち着き、排石効果があるとの事でした。その当時は半信半疑でしたが、確かに効くようです。
ツボの位置はあまり厳密に考えず、患者の訴える圧痛点を1分くらい押して、痛みが引くまで数回続けるだけです。
器具もいらず簡便で副作用もなく、即効性があるので試す価値は高いと思います。
尿管結石によく使うお薬
漢方の痛み止めです。尿管の平滑筋の収縮を抑制することによって、排石促進、疼痛改善効果をもたらすと考えられています。
効果発現は早く、15分程度で疼痛が減弱し、その効果はNSAIDs(非ステロイド性消炎鎮痛剤)より高いと報告されています2)。
尿量を増やして排石を促進し、血尿に対する止血効果があります。救急外来で痛みが減弱した後、排石促進のために処方しています。
腹痛に使用する漢方です。尿管結石の疝痛にも有効という報告がありますが、私は処方したことはありません。
結石の排出を高める薬です。「ウラジロカシ(裏白樫)」という植物が主成分です。ウラジロカシは古くから民間薬として胆石や尿管結石の治療に使用されてきたそうです。
カタカナなので西洋薬に見えますが、実は薬草のエキスからなる漢方っぽい薬です。
尿管結石に対する漢方治療を紹介してみました。
尿管結石は漢方の知識が役立ち、有効性を実感できる疾患の一つだと思います。
参考になれば幸いです。
参考文献
- 1)武田宗和 他. 救急外来診療における尿管結石疝痛発作に対する指圧による治療経験. 日臨救急医会誌 2021;24:425-8.
- 2)井上 雅 他. 尿管結石による疝痛発作時の芍薬甘草湯の効果. 日東医誌 2011;62:359-362.

